株式会社セントラルビレッジ

不動産M&Aについて

「不動産M&A」とは何か?
法人が不動産を所有していて、その法人の価値が、所有する不動産そのものであり、不動産を取得することを目的として、不動産を所有する会社の株式を買収するスキームを、一般的に「不動産M&A」と呼んでいます。

東京千代田区で事業承継(事業継承)のコンサルティング業務を行っている当社では、都心で不動産賃貸業を主に行っている会社から、事業承継のご相談をいただくことが少なくありません。そのような会社は、M&Aを出口として選択するケースがあります。
どのような会社が不動産M&Aを選択しているのか?また、不動産M&Aは、通常のM&Aと何が違うのか?簡単にご説明します。

都心の不動産を持つ会社

現在の東京都心にも、戦後から高度成長期にかけては、多くの商店、問屋又は町工場がありました。それらの事業の中には、一時は多数の従業員を抱え、法人組織で行われていたものも少なくありません。
しかしながら、大型小売店の台頭や交通インフラの整備、円高の影響、工場の地方や海外への移転などによって、都心の産業構造は大きく変わりました。そのような時代背景の中で、都心でも採算がとれ、銀行が融資したい事業というのは、不動産賃貸業がメインとなってきました。

また、バブル期には都心の不動産が高騰し、不動産賃貸業に事業を転換するケースも多かったと思います。従って、都心の収益不動産オーナーは、かつて他の事業を行っていたものの、業態転換をしているため、法人で不動産を所有しているケースが多いのです。
都心で不動産経営をしている会社の多くは業歴が長いので、1回から2回ほど経営者の相続問題継承問題を経験しています。
そのような会社では、以下のような悩みが挙げられています。

  1. 相続が何回か発生しているので、親族内で株式が分散している
  2. 土地の取得時期が古く、簿価が低い(多額の含み益が内在している)
  3. 昭和後期から平成初期にかけて建てた建物に、大規模修繕の必要性が生じる

不動産M&Aを選択する理由

不動産経営において、日々重要な意思決定があるわけではありませんが、修繕や建て替えの判断に当たっては、多額の借入金を要することにもなりますので、大きな決断をしなければなりません。
不動産のオーナーは法人ですが、多大な借入をする場合、法人の代表者の個人保証が必要になることも少なくありません。リスクをとって英断を下した結果が、10年から20年先に大きな影響を残します。その決断は、次の世代に資産として残るのか?負担として残るのか?誰にもわかりません。

このような大きな決断をするためには、株主が分散していることは深刻な問題です。
不動産経営がうまくいっている時には、在庫を持ったり従業員を抱えたりすることがないため、経営のリーダーシップが明確にならず、株主がそれぞれ利益分配を主張することもあります。そこで、そのような会社の株主たちが不動産を保有し続けることを大きな負担と考え、不動産を売却し、各株主で会社に残った現金を分け合おうというコンセンサスが得られるようになります。

しかしながら、顧問税理士に相談すると、大昔に取得した土地を売却することで、多額の含み益に法人税が課されることがわかります。また、多額の法人税が課された後に会社を清算し、株主に残余財産を分配した場合には、その残余財産の分配の大部分は、株主に対する配当とみなされ、多額の所得税(最高税率55%)が課されることを知り、株主の手取りキャッシュは、不動産の売却対価の3分の1にも満たない現実に直面します。そこで、そのような会社の株主は、多少金額的にディスカウントされても、株式をそのまま買い取って欲しいという考えにいたります。

不動産M&Aの進め方

不動産M&Aは、誰に頼むかが最重要ポイントです。会社が所有している不動産の価値とリスクを正しく認識し、その不動産の需要がどこにあるのかを見極める不動産のプロとしての能力は、通常の不動産売買と同様に必要です。しかしながら、株式を売買するということは、宅地建物取引業法の規制の対象外であり、契約内容等はM&Aそのもので、M&Aのプロとしての能力も必要です。そして、不動産M&Aを志向する動機付けが、多額の税負担にあることを考えれば、M&Aの対象会社、買い手及び売り手の税務に精通していることも不可欠です。
しかし、不動産のプロだけで案件を処理しよう、またはM&Aのプロだけで案件を処理しようと思ってもうまくいくものではありません。
不動産取引、M&A実務及び税務に精通したプロジェクトリーダーを決め、情報や手続きを統制しながら、売り手と買い手の利害関係の調整ができなければ、成功は掴めません。不動産M&Aについても、専門分野が多岐に渡ります。高いモラルと顧客の課題解決をミッションとするコンサルタントだけが取り組める問題だと思います。

当社は東京千代田区を拠点に、事業承継のコンサルティングを専門に行っています。
事業承継のご相談に応じていると、結果的に不動産M&Aにいたることも多いため、不動産M&Aの受託経験も豊富です。不動産M&Aは、不動産ありきでも、M&Aありきでもありません。過去の歴史と現状を深く理解して、オーナーの立場に立って、最適なチームアップができるコンサルタントに相談することをおすすめします。